1283.実録・腎臓移植・part1
前の記事の続きです。
慢性腎炎から慢性腎不全に至った私が生き残っていくためには、透析治療しかありません。基本的に透析治療に入れば、週3回、一回に4時間かけて汚れた血液を濾過して、それを身体に戻すという透析治療を繰り返して生きながらえることになります。
腎臓病の状態を測る指標として、血中のクレアチニンの値があります。正常値は男性が0.6~1.2、女性が0.4~1.0(mg/dl)ですが、腎臓が悪いとその値がどんどん大きくなっていきます。このクレアチニン値とは、分かり易く言えば血液中のゴミの量を測っているものです。
この血中クレアチニン値が8となれば、尿毒症であり、放置すれば死を待つのみですが、その前の7ぐらいになっていくと生きながらえるための透析治療を行ないます。7ぐらいの値で透析治療を済ますと5ぐらいになるようです。
透析治療というのは、24時間365日やっていれば正常値の1.2に限りなく近づくのでしょうが、これでは常に管に繋がれているばかりですので、週3回一回4時間の透析治療をして、それ以外の時間はシャバに出て活動することができるというもので、患者本人のクオリティオブライフを高めるのですが、その実態は苦しいながらも何とか細々と生活ができるというものです。
この透析治療の上を行くのが腎臓移植です。私の場合は、これを強く望みました。そうは言っても、腎臓の提供者(ドナー)が必要なので、そう簡単に腎臓移植が出来るものではありません。
私のドナーは実母です。33歳直前で移植手術をしたのですが、その時の実母の年齢は65歳でした。私は今67歳なのですが、今の年齢になって考えると、実母はよく提供してくれたものだと頭が下がる思いです。
当時の私は妻と二人の幼子がいました。我が子を無事に成人させるためには、この起死回生とも言われる腎臓移植をするしかないと、病身ながら腎臓移植について勉強をしていました。本を読んで勉強するのは勿論、腎臓移植者の集いにも参加して、その方々の意見を聞いてみたりしました。
その結果、透析治療を始めて4ヶ月後に腎臓移植手術をしたのです。1989(平成元年)11.15でした。二週間後が満33歳の誕生日でした。
これにより私のクレアチニン値は1.4に改善しました。34年経った今でも1.4から1.6ぐらいです。正常値の男性下限1.2よりも若干劣るだけの値です。
腎臓移植をすれば手放しで健常者となるわけではありません。貰った腎臓をダメにしないために、免疫抑制剤などをサボらずに飲み続ける必要があるし、その免疫抑制剤などの副作用にも対処しなくてはならないなど、未だに腎臓病患者であることは間違いないのですが、郵便局めぐりのために何泊もして趣味に励むなど、クオリティオブライフは格段に上がっていることも間違いのないことであります。
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